’60s東京グラフィティ -プロデューサー日記-
東京渋谷で2006年のGW(ゴールデンウィーク)に開催されるイベントの準備からスタートまでの記録
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VANという生き方 ⑤
僕が初めて自分の声を耳にしたのは、中学一年の夏休み。オープンリールのテープレコーダーを買ってもらった友達に、「自分の声を聞きたいから貸して」と頼み、一日だけ借りることに成功した日のことだった。
両親がいない午後三時過ぎ。窓から周辺を念入りに窺い、一人でマイクに向かう姿を誰にも見られないことを確認。それでも声を潜めるようにして、一言だけ吹き込んだ。「○○○○○」。
直後に慌ててスイッチを捻り、その大きな音にまた周囲を窺って巻き戻した。再生を始める。また大きなスイッチの音。そうだ!と気付き、ボリュームを下げる。小さな内蔵スピーカーに耳を近づける。「○○○○○」。
全部を聞き終わるやいなや、僕はスイッチをオフにした。顔が次第に紅潮していくのが分かった。理由は、二つ。一つは、自分の声のふがいないほどのだらしなさに愕然としたこと。もう一つは、僕の苗字に初恋の人の名前を重ねた、その内容だった。
そして、思った。自分で思っている自分て、そんなに本当の自分ではないのか?と。

「何をしたいか」。そのことを考え始めた時、僕は中学一年生に戻ったかのようだった。
主観的に捉えた自分なんてあてにならない。他人の客観的な判断や評価の総体の方が、むしろ僕自身を的確に映し出しているのだろう。そう思いながら、でも、僕の中に「これだ!」という発見や「いいなあ」という憧憬が生まれてくるのを、僕は待った。毎夜、飲みながら……。
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